【書籍】『名画で読み解くブルボン王朝12の物語』中野京子(著)〜なかなか理解しがたい歴史〜

最終更新: 2019年9月25日


今回も『ハプスブルク家12の物語』に引き続き、名画で読み解くシリーズ第二弾、ブルボン王朝です。


ブルボン王朝は、ヴァロワ朝が断絶し、ブルボン家のナバラ王アンリがアンリ4世として即位した1589年から1792年、一時中断後、1814年から1830年まで続いたフランス王国の王朝です。


ブルボン家はハプスブルク家と並ぶヨーロッパの名家で、スペイン・ハプスブルク家が断絶した後にスペインを支配したのもブルボン家です。


歴代の王でも特に有名なのは太陽王と呼ばれたルイ14世とフランス革命でギロチンにかけられたルイ16世でしょうか。


アンリ4世の孫であるルイ14世はフランス文化を発展させて宮殿をパリからベルサイユへ移転したほか、度重なる戦争により領地を拡大して(膨大な軍事費が国家財政の混乱を招いたが)国際社会におけるフランスの地位を向上させ、確固たるものとしました。

著書の帯にルイ14世の絵画が使われているのも、彼が「王のなかの王」だったということでしょう。


一方、ルイ16世は14世や15世とは違い、「引きこもりオタク」のような性格だったそうです。

長年敵対関係にあったハプスブルク家からマリー・アントワネットを妃に迎えましたが、先代からの負の遺産をそのまま受け継ぎ、さらにはアメリカ独立戦争を支援したことで財政はさらに悪化、破綻に瀕しました(フランス革命前年の借財は今のお金に換算すると約100兆円にも上ったとのことなので、まあ、すごいですよね)。しかし、派手な宮廷生活っぷりは変わらず、今まで無税だった貴族や聖職者にも課税しようとして、、、最後は皆さんご存知の通りです。


このようなブルボン王朝の歴史が、本書では名画とともに語られています。

また、ブルボン家だけでなく、ハプスブルク家との関係やアメリカとの関係も知ることができます。


また、共和制を目指した革命直後に現れたナポレオンとその後の王政復活、そしてまた共和制が引かれたものの、大統領になったルイ・ナポレオンが皇帝ナポレオン三世(共和政→皇帝)を名乗り、、、、。


という一連の流れを見ることができます。


しかし、このフランスの歴史、王政と共和政の繰り返しはなかなか理解するのが難しいですね。


そんなこんなを、以下の12の名画を通して読んでいくのが、この本の醍醐味です。



1.ルーベンス『マリーのマルセイユ上陸』

2.ヴァン・ダイク『狩場のチャールズ一世』

3.ルーベンス『アンヌ・ドートリッシュ』

4.リゴー『ルイ十四世』

5.ベラスケス『マリア・テレサ』

6.ヴァトー『ジェルサンの看板』

7.カンタン・ド・ラ・トゥール『ポンパドゥール』

8.グルーズ『フランクリン』

9.ユベール・ロベール『廃墟となったルーヴルのグランド・ギャラリー想像図』

10.ゴヤ『カルロス四世家族像』

11.ダヴィッド『ナポレオンの戴冠式』

12.ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』



なかでも、私が特に実物を見たいな思ったのはルーベンス作『マリーのマルセイユ上陸』です。これは『マリー・ド・メディシスの生涯』という全21点のシリーズの中の一つです。


いやぁ、単純に美しい。


この作品の主人公であるマリーはアンリ4世の再婚相手です。フィレンツェの大富豪メディチ家出身で、高額の持参金とお供を連れて華々しく輿入れしました。

その様子を描いたのがこの作品なのですが、実際は、、、その時アンリ4世は愛妾と小旅行中で、自分よりも大柄で太っているマリーを見て幻滅したと言われています。


容姿も決して良いとは言えないマリーですが、性格もそうだったようで、「私を見て!」という気持ちの強い、自分第一主義の人間だったようです。


当時のフランスは、ルネサンス以降豊かな芸術に囲まれたフィレンツェに比べて文化度が低く、また、自分の持参金がフランスを救ったと信じていたためマリーの態度は自然と横柄になったようです。フランス語もあまり話せずに、同郷の取り巻きとしか交流をしなかったため、夫にも宮殿内でも人気がなかったそうです(息子とも仲が悪かった)。


この全21作品にも及ぶ大作を作らせたのはマリー自身で、このような背景を知った上で作品を見ると、作品自体が華麗で煌びやかであればあるほど、「本当はこういう人じゃなかったんだよね〜」なんて、逆に悲しく思ってしまいます。悲しい虚栄心?見たいな。


このように、名画の楽しい見方を教えてくれる『名画で読み解く〜ブルボン王朝12の物語』はオススメです。


『ハプスブルク家12の物語』と合わせて読むとおもしろさ倍増です。




作者: 昌

​韓国に来て早10年以上。いつかは仏様を描きながら世界中を旅するのが夢

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