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【書籍】『名画で読み解くロマノフ家12の物語』中野京子(著)〜ロシアはやっぱりおそロシア〜

最終更新: 2019年8月29日


オーストリア&スペインのハプスブルク家、フランスのブルボン家に続き、『名画で読み解く』シリーズの第三弾はロシアのロマノフ家です。


ロマノフ家は1613年にミハエル・ロマノフがロシア皇帝(ツァーリ)に戴冠し、1917年にロシア革命が勃発してニコライ2世が退位するまでの300年余りの間、ロシアを統治した帝室です。


約100年前まで実存していたと思うと、そんなに昔の話ではないような気がしてきます。

特にニコライ2世は家族で写っている写真や動画も残っていますし、1918年にはボルシェビキによって一家銃殺されますが、末娘のアナスタシアに関しては生き残り説が根強く残り(自分がアナスタシアだと名乗る女性も数人いた)、DNA鑑定によって家族全員が1918年時に処刑されていたと判明したのはほんの10年ほど前、2007年のことでした。


ロシアはどこか暗く、陰気臭くて、恐ろしい雰囲気がありますが、このロマノフ王朝も本の帯にある通り「弟が姉を、夫が妻を幽閉し、父が息子を、妻が夫を殺してきた歴史」ということで、ただ単純に怖いです。


ロマノフ王朝前のリューリク朝イワン雷帝も拷問、監禁、処刑、虐殺、、、、と恐怖政治半端なしという感じでしたが、ロシアはなぜもこう恐ろしいのでしょう。


過酷な自然もその一因?


ちなみにこのイワン雷帝の最初の妃がロマノフ家のアナスターシャです。教養もありイワン雷帝からも愛された彼女は癇癪持ちのイワンを見事に宥め、うまくやっていたようですが、ある時急死してしまいます。毒殺が疑われ、イワンが粛清を強化したのもこれがきっかけといわれています。もし彼女が生きていたら、なんて思っても、歴史にifは禁物なのでどうしようもないですね。王妃や皇妃の命が狙われるのは、常に権力争いをしている王朝では珍しいことではないですしね。


さてさて話は戻り、このロマノフ家を以下の12の名画で解説しているのが本書です。


1. ワシーリー・スリコフ『フィードシヤ・モロゾワ』

2. シャルル・フォン・ステュイベン『ピョートル大帝の少年時代の逸話』

3. ニコライ・ゲー『ピョートルと息子』

4. カルル・ヴァン・ロー『エリザヴェータ女帝』

5. コンスタンチン・フラヴィツキー『皇女タラカーノヴァ』

6. ウィギリウス・エリクセン『エカテリーナ二世肖像』

7. ニコラ=トゥサン・シャルレ『ロシアからの撤退』

8. ジョージ・ドウ『アレクサンドル一世』

9. イリヤ・レーピン『ヴォルガの舟曳き』

10. 山下りん『ハリストス 復活』

11. ボリス・クストーディエフ『皇帝ニコライ二世』

12. クロカーチェヴァ・エレーナ・ニカンドロヴナ『ラスプーチン』


ハプスブルク家とブルボン家に取り上げられた12の名画には、華やかで煌びやかな絵がいくつもありましたが、このロマノフ家の絵画は歴史がそうだったように恐怖を感じるものが多いように思います。


帯にもなっている『皇女タラカーノヴァ』が表現する絶望感もそうですが、『ラスプーチン』が持つ人間ではないような怪奇さ、『ロシアからの撤退』が描く過酷な自然が人間に襲いかかる圧倒的強さ、、、。


ただ、これが、もう見たくない!、にはならないのが不思議なところ。

怖いと思いつつ、じーっと、絵の全体を、そして解説されている細かい部分を目を凝らして見てしまいます。


それが、このシリーズのおもしろいところ。



3冊とも2回ずつ読みましたが、おそらく今後も何度か読み続けるでしょう。


あとがきにある「それぞれの王朝の終わりを見て思うに、つくづく人間は歴史に学ばない(学べない)のだなあということ」という言葉がとても印象的です。

長命だった3つの王朝だけでなく、人の歴史を見ても、確かにそうだと感じます。


そして、こう続きます。

「学んでいるつもりでも、いざ己のこととなると、身近に迫る変化の気配すら感じないのかもしれません(巨大恐竜が足元に目がゆかないように)」

私たちも(少なくとも自分は)、そうかもしれない……。そんなことも思いました。






作者: 昌

​韓国に来て早10年以上。いつかは仏様を描きながら世界中を旅するのが夢