【美術館巡り】煥基美術館(환기미술관)

最終更新: 2019年9月18日



金煥基(김환기/キムファンギ、1913~1974)は韓国の抽象美術における第一世代として知られています。洗練され、昇華した造形言語を用いた韓国的な叙情主義を基に、固有の芸術世界を確立、韓国を始め現代美術の中心であるパリやニューヨークでもその名を馳せました。


1930年代中頃から前衛的な活動の一つである抽象美術に励み、韓国のモダニズムをリード、50年代には、現代的で単純化された造形言語を基に、叙情的世界を形造りました。この頃の作品は、山、川、月などの自然を主な素材として、より密度の高い豊かな表現で、韓国特有の叙情を美しく造形しています。


煥基は56年から59年までの3年間のパリ時代とサンパウロ・ビエンナーレで受賞した63年から亡くなる74年までのニューヨーク時代に、最も旺盛な活動を見せました。

パリ時代とソウル時代を含む50年代まで、彼の芸術は厳格で単純化された造形性の中に、韓国固有の叙情世界を具現化しました。その後、60年代後半のニューヨーク時代には、点、線、面などの純粋な造形的要素を用いて、より普遍的で内密的な叙情の世界を深化させていきました。


(以上、「煥基美術館ホームページ」より。原文の韓国語より和訳)


(訳した後に日本語ページがあると気づくという、、、。まぁ、韓国語の勉強になったからいいけどね。)



金煥基の絵は、「高額で取引された韓国の絵画トップ10」の中で8つを占めるほどの人気&評価を得ています。


上の絵画も彼の代表的な絵の一つで、月、空、梅、壺をモチーフに韓国の叙情を表現しています。


うん、確かに韓国っぽいぞ。


シンプルだけど、自然や季節、人の生活がそこに含まれていて、暖かい印象を受けます。

煥基はこの絵画以外にも、壺と月を用いた絵をたくさん描いています。



その次の写真にある地図記号のような絵画は、木、林、山など自然を表しているそうです。


なるほど。これが彼の表現する造形言語というものなのか……。





煥基の芸術はニューヨークに移った後にさらに進化していくのですが、美術館で解説しくれた学芸員の方によると、その大きな理由の一つが「ニューヨークという都市に暮らす人たちにとっては、煥基が表現する『自然』や『韓国的な叙情』を理解するのが難しかった」からだそうです。


この状況に煥基は「この芸術を理解してもらえないなんて……」と嘆き落ち込むのではなく、「だったら、ここの人々に受け入れられる芸術の形とは何なのか」と、さらなる活動に打ち込んだとのこと。


(素敵な姿勢だわ。今の自分に欠けてるところね。)


そして創り出したのが、この線や点で表現する芸術的世界空間です。



初期の頃のような、(東洋人にとって?)分かりやすい暖かさはありませんが、単純であるものの奥深いインパクトを与える作品だなという印象です。


また、文芸員の方によると、「一見すると以前の絵画とは全く違う作風に思えるが、この一つ一つの線と点の中には、煥基が今まで追求し続けていた技術が確かに含まれている」とのこと。

煥基にとって、進化、洗練された芸術の結果がこれだったということなんでしょうね。


年を追うごとに煥基の芸術的表現はシンプルになっていきますが、それと同時に、作品の大きさもさらに大きくなっています。


上の『宇宙』という作品は、細長い二つの作品を並べたもので、両方あわせた状態で2.45m×2.45mの大きさになります。

(こちらの作品は煥基美術館のチケットを販売する建物の二階に展示しています。)


この細かい点と線でどでかい絵画を仕上げた忍耐と集中力よ。

かなりの迫力です。




煥基美術館はソウル北部の府岩洞に位置します。

ソウル美術館からも徒歩10分程度しか離れていないので、府岩洞に行かれる場合は両方訪問することをお勧めします。


同美術館は金煥基の作品だけでなく、その他の芸術家の作品を展示しています。


煥基財団40周年を記念して開かれている2019年特別企画展では、印象派のムン・ミエとハン・ヨンジンを始めとする作品が鑑賞できます(10月13日まで)。



最後に、金煥基にとっての美術とは……


"미술은 철학도 미학도 아니다. 하늘, 바다, 산, 바위처럼 있는 거다. 꽃의 개념이 생기기 전, 꽃이란 이름이 있기 전을 생각해 보라. 막연한 추상일 뿐이다."

(1973년 10월 8일 김환기 일기)



「美術は哲学でも美学でもない。空、海、山、岩のようにあるものだ。花の概念が生まれる前、花という名前が付けられる前を考えてみるといい。漠然とした抽象に過ぎない」

(1973年10月8日の日記より)



自然のようにただ存在するだけのもの、ただそれだけだそうです。



【参考サイト】

煥基美術館ホームページ(韓国語)

煥基美術館ホームページ(日本語)

※開催中の企画展等は韓国語ページの方が情報多いです。

コネスト(煥基美術館)

作者: 昌

​韓国に来て早10年以上。いつかは仏様を描きながら世界中を旅するのが夢

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